合診療科

2016年4月より3名の体制でスタートした総合診療科ですが、現在は5名体制まで増え、日々充実した診療を行っています。

合診療科って、どのような診療科でしょうか

 総合診療科は、患者の症状に対して包括的・最適な医療を選択して提供する、医療の原点ともいえる診療科です。様々な症候に対してアプローチできるスキルを身に着けていますので、どの診療科を受診したら良いか分からない場合の初療を担います。また夜間の急患対応など機能する医師が少ない場面では幅広い知識と経験が、より力を発揮します。また「発熱が続く」などのすぐには原因の分からない症状に対しても真摯に向き合います。心理的な問題が症状として現れてくる場合もありますし、すぐには診断がつかない場合でも急ぐ病態かどうかを適切に見極め、患者の訴えに寄り添い、つぶさに状態をモニタリングしていくことで所見が揃ってくることも多く、時間軸までを意識した診療を行います。さらには患者を診ることは勿論ですが家庭や家族の問題、あるいは医療者側の問題、もっといえば病院や地域、行政が抱える問題をともに共有し、幅広い視点をもって解決にあたります。学生・研修医教育にも力を入れています。問題点の挙げかたを考え、治療に至るまでの流れを学習できるように教育体制も充実することができました。

のような患者さんを診ていますか

 図1に示すのは、年代別の入院患者推移です。3分の2以上が70歳代以上の年齢層となっており、高齢社会であることを強く実感します。高齢患者は多岐にわたる併存症を有しているため総合的な視点を意識した対応にあたることが特に求められます。薬剤部と合同カンファレンスを開催して多剤処方の適正化に向けた取り組みも強化しています。高齢者への内服薬が増えることでの弊害は確実に多くなります。相互作用によって副作用を起こす場合、あるいは副作用症状であることが分からずに、その症状に対して新たな薬剤が処方されて場合もありますので、新たに薬剤を足すのではなく「引き算」をすることによって問題解決できる場合が多くあります。本人の価値観なども踏まえた丁寧な聞き取りを行い、減らせる薬剤を検討します。下記に多剤処方適性チームと、それによる介入例を提示します。

院の多剤処方適性化チームとは

薬剤師と総合診療科医師が協働して持参薬の必要性を検討するカンファレンスを実施しています。(週1回)

対象患者

・総合診療科に入院、もしくは他科主治医から介入依頼があった患者(短期入院患者は除く)
・65歳以上
・入院時点で6剤以上の内服薬を4週間以上定期的に処方されている

薬剤総合評価調整加算100点(退院時1回)

入院前に6種類以上の内服薬が処方されていたものについて、当該処方の内容を総合的に評価した上で、当該処方の内容を変更し、かつ、療養上必要な指導を行った場合。
さらに該当患者に退院時に処方する内服薬が2種類以上減少した場合は薬剤調整加算として150点を加算する。

退院時薬剤情報連携加算60点

退院時に退院時薬剤情報管理指導料を算定した患者において、保健医療機関が入院前の内服薬の変更をした患者又は服用を中止した患者について保健薬局に対して、当該患者又はその家族等の同意を得てその理由や変更又は中止後の当該患者の状況を文書により提出した場合。

 図2は2022年度の疾病分類別の入医患者割合、図3は当科におけるCOVID-19入院患者数の推移です。もともと呼吸器疾患が多かったのですが、コロナ禍となってからはそれが加速しているようです。感染症指定医療機関でなくとも二類相当のコロナ感染症に対応できるよう総合診療科が中心となって診療科や院内の意識改革に取り組みました。

体的には、どういった病気をみているのでしょうか

以下に、当院で経験する症例の一部を示します。さまざまな症状を詳細に分析することで診断を確定、治療を行います。

感染症
COVID-19、敗血症性ショック、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、リケッチア症、破傷風、麻疹、寄生虫症、HIV など
呼吸器疾患
急性呼吸促迫症候群、間質性肺炎、肺抗酸菌症、肺真菌症(肺クリプトコッカス症、ニューモシスチス肺炎など)、閉塞性肺疾患、気胸 など
腎・尿路系疾患
急性層状細菌性腎炎、ネフローゼ症候群、尿細管性アシドーシス など
外傷・損傷・中毒疾患
バルビツレート中毒、シャクナゲ中毒 など
消化器疾患
ベーチェット病、炎症性腸疾患、肝肺症候群、胆嚢・胆管炎、肝炎、サイトメガロウイルス肝炎、憩室炎、直腸潰瘍、上腸間膜静脈閉塞症、腸壊死 など
悪性新生物
原発不明癌、多発骨転移、肺癌、尿路上皮癌、卵巣癌、膵癌 など
筋・骨格・結合組織疾患
感染性脊椎炎、腸腰筋膿瘍、化膿性関節炎、スティル病、血管炎症候群、TAFRO症候群、RS3PE症候群、亜急性壊死性リンパ節炎 など
代謝・内分泌疾患
糖尿病性ケトアシドーシス、ACTH単独欠損症、亜急性甲状腺炎、甲状腺機能亢進・低下、骨粗鬆症 など
循環器疾患
感染性心内膜炎、肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症、たこつぼ型心筋症、心筋梗塞、上腸間膜動脈解離、肺高血圧症 など
神経疾患
脳脊髄炎、ギランバレー・フィッシャー症候群、ウェルニッケ脳症、亜急性連合性脊髄変性症、脳梗塞 など
血液・造血器疾患
血管内リンパ腫、血球貪食症候群、形質細胞腫瘍、骨髄異形成症候群、特発性血小板減少症 など
皮膚疾患
電撃性紫斑病、フルニエ壊疽、蜂窩織炎、帯状疱疹、外陰潰瘍 など
耳鼻・咽喉科疾患
急性喉頭蓋炎、扁桃炎、副鼻腔炎 など
婦人科疾患
子宮外妊娠、卵巣出血、子宮留膿腫 など
精神疾患
うつ病、認知症、せん妄、睡眠障害、転換性障害 など
その他
アナフィラキシー、薬剤性臓器障害 など

予防医療にも積極的に取り組んでおります。尿路感染が既往にある高齢者に対して、大腸菌ワクチンの治験を募集しています。

以上、医療に関わる全ての場面の多様なニーズに応えられるよう努力し、信頼性と継続性を持った医療提供を行ってまいります。

療スタッフ

部長 石井 稔浩
(いしい としひろ)
主な資格 医学博士
日本内科学会 認定医・専門医・指導医
日本呼吸器学会 専門医
日本アレルギー学会 専門医
日本プライマリ・ケア連合学会 認定医・指導医
日本病院総合診療医学会 認定医・指導医
副部長 堤 大輔
(つつみ だいすけ)
主な資格 日本内科学会 認定内科医
日本プライマリ・ケア連合学会 専門医・指導医
日本病院総合診療医学会 認定医・特任指導医
日本専門医機構 総合診療専門研修 特任指導医
日本消化器内視鏡学会 専門医
役職 名前 主な資格 専門分野
医員 後藤 亮(ごとう りょう)    
医員 加納 一頼(かのう かずより)    

大分市大宇宮崎1509-2tel:097-569-3121(代) fax:097-568-0743

医療関係者の方はこちらへ

お問い合わせはこちら

電車

JR敷戸駅より 徒歩15分 JR大分駅より タクシー20分

バス

宮崎バス停より 徒歩3分

自動車

高速道路より→光吉ICをおりて車で10分
大分中心街から→JR大分駅より10号線を走り、車で20分